中国の呉儀副首相が小泉首相との会談を土壇場でキャンセルし帰国した。
中国側から是非にと希望したと言われる会談をである。
原因を簡略に言えば『小泉首相の靖国神社参拝が気にくわない』というものである。
小泉首相の靖国参拝問題は日本の国内的にも色々な意見があるのは周知の事実であるが今回はその是非ではない。
中国側の外交に対する非礼である。
外交とは当たり前の事ながら相手の国がある。
相手国に対して礼を尽くしながらも言うべき事は言い、聞くべき事は聞くというのが外交である。
相手国が気に入らないからと言って自分から切望した一国の代表者との会談を平気でキャンセルして、さっさと帰国するというのはどう考えても大人の態度ではない。
中国は悠久の国を自認し、礼節の国であることを誇りにしていた筈である。
それが先般の反日デモあたりからおかしくなって来たようだ。
今の中国は民主主義を標榜しているが根底は共産党独裁の社会主義国家である。
その社会主義の中国が一番大事なのは独裁の維持である。
その為には外交の相手国に対する非礼や無礼は二の次、三の次なのだろう。
要するに中国の国内的には靖国参拝を是とする日本の首相と自国の副首相の会談は如何にも拙いのである。
如何に社会主義の国と言えども学生やインテリ層へのインターネットの威力は侮れない。
そのインターネットに中国の副首相と小泉首相の握手、会談が流れれば先の反日デモの例もあり、中国当局のコントロールが効かない恐れは十分にある。
その恐れを回避すると共に日本という国を下に見ているというポーズを中国国民に与え、それにより優越を与えるという小賢しいやり方が今回の会談キャンセルであろう。
まぁ、実際には中国の副首相が来日する前から小泉首相の靖国問題は横たわっていた訳で、今回の会談キャンセルは非礼云々というよりも中国側の揺さぶりと考えるのが適切なのだろう。
己が有利になるならば非礼も無礼も関係ないというのが中国の日本に対する一貫した姿勢である。
そう考えればそれなりに整合性が無くもない。
そういった意味から考えれば今回の会談キャンセルは中国流の大人の態度なのだろう。
しかし後味の悪さと品性の無さは如何ともしがたい。
このような国が外交の一大イベントであるオリンピック開催国として本当にやっていけるのだろうか。
中国よ、歴史が長いからと言ってそれが尊い訳ではない。
長い歴史の中に何を学ぶのかが尊いのである。
大人を気取るのではなく本当の大人に早くなって欲しいものと切望して止まない。
翻って日本よ、官房長官のコメントのような『生産性のない議論にはコメントしない』などと言っていないで主張すべきところは大いに主張すべきである。
外交とは良し悪しは兎も角として『声の大きな者の勝ち』の要素があるのも否めない事実なのだから・・・。