いま厚生労働省と社会保険庁の監修料問題が表面化してきている。自分たちの役所で発注した出版物やパンフレットのチェックをするのが『監修料』を受け取る名目だと言う。

  要するに添削と校正作業に受注業者から『監修料』という名で金が流れているのである。 その流れてくる金も元をただせば我々の税金である。その税金を使って各種の出版物やパンフレットを業者に発注しそれらの売り上げの何割かが一律に『監修料』として厚生労働省や社会保険庁に環流されていると言うのだ。
  しかし、そもそも出版物を出版社や印刷会社に発注すれば役所であれ、民間であれ、個人であれ校正や添削をするのは当然の仕事である。著名な作家が自分の作品のゲラを校正するのに料金を取っているという話は聞いたことがない。ましてや税金で作る役所の出版物を校正するのに『監修料』がかかるとは言語道断である。
  それも年度の表示だけが変わり内容にさしたる変化の無い物にまで払われているそうである。 そして、この『監修料』は受け取った職員が自分の所属する課に拠出してタクシー代や夜食費、懇親会費などに充てられたという。要するに課にプールした裏金の性格である。それにしても一部とは言え役人と言うのはどうして裏金的性格のプール金を作りたがるのだろうか。
  今回の『監修料』以外にも過去には旅費や日当の名目で税金をかすめ取りプールしていた事件もあった。これらも立派な税金泥棒である。しかしながらどうしてこんな事が懲りることなく度々起こるのだろうか。 それは予算配分の不適正から来ているのではないのだろうか。必要な残業代、タクシー代、夜食代などは始めから予算として計上しそれを適正に執行していけば良いのではなかろうか。それらが適正に予算計上されない為に裏金的プール金が発生するのではないだろうか。そして役所の全ては税金で賄われている。プール金を作るには今回のような『監修料』に限らず色々な名目で税金を環流させることになり、税金の不適切な執行即ち税金泥棒の道へと逸れることになる。
  そして役人の世界は責任が明確ではない。『赤信号みんなで渡れば恐くない』的な錯誤に陥り罪悪感も殆どない。 多くの善良なる役人たちは自分たちの仕事を一所懸命に履行していると信ずるが一方では今回のような事例が後を絶たない。
 
  日本の公務員は諸外国に比べてモラルが高いことで評価されている。今まで維持してきたモラルの高さを心に置き、正すべきは正し、省みるべきは省みて真っ当な公務員像を修復して欲しいと切に願う。 公務員諸氏!諸氏の責任は重い、そしてその重さが国民の期待の大きさであり希望の大きさである。健闘を祈る。