3月5日、国会に野党4党の森内閣不信任案が提出され、そして“お決まり”のとおり否決された。 その後のインタビューで森首相は「森内閣は信任されたということ」の旨の発言をしている。 森首相の立場からは当然の発言であろう。

  今回の不信任案提出以前から野党だけでなく、与党からも森降ろしは声高に囁かれていた。 しかし、森氏自身の“やる気”と“後継者不在”で降ろすに降ろせない状況に陥っている。 そのジレンマの発露が自民党だけでなく連立党からも『不信任案には反対、否決だが森首相自身が信任された訳ではない』という摩訶不思議な発言に表れているのだろう。

  ここでは野党の不甲斐なさは置くとして、政権党たる自民党の対応である。 いくら政権党の自民党とは言え、極々一部の者以外は『森氏では持たない』と感じている。 なのに代わりが居ないと言うことで、首相の座にしがみつく森氏に居座りを許している。 本当に代わりは居ないのだろうか。 そんなことは自民党に限って絶対に無いのではないだろうか。 小渕前首相が逝去し後、かの五人組の密室人事で森氏が突如として首相の座に着いたのは、そんなに昔の事ではない。 それを考えれば、また密室人事を行えば森氏の後釜くらい直ぐに見付けられるだろうに。 但し、選挙管理内閣でしかない短命であることは保証付だが。 自民党の若手議員も口先では森氏を批判し、政権降りるべしを言うが行動が伴わない。 言うことは言っても、やることをやらぬ永田町の理論に縛られているようだ。

  加藤政局の加藤氏、山崎氏の今回の行動も分かり難いが、これも永田町理論なのだろう。 いずれにしても森政権が長くないのは誰が見ても自明の理。 インタビューで森氏は「信任を受けたのだから今後も責任を持って努力していく」とも言っている。 どうせ後僅かの期間なのだから努力などせず大人しくして居て欲しいものだ。 しなくていい失言は豊富、しなくてはいけない時には悠々とゴルフの御仁なのだから。 森首相には何かをさせない、言わせない、これが目下の我が国の“危機管理”と思うのは筆者だけだろうか。